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【コラム】SDGsは“ドべネックの桶”である

2020.07.15

こんばんわ。E-team(イーチーム)代表の江口です。

みなさまは“ドべネックの桶”を聞いたことがありますか?ドイツの化学者・ユーストゥス・フォン・リービッヒが提唱した、植物に必要とされる栄養素の学説「リービッヒの最小律」を分かりやすく解説したものがドべネックの桶です。

植物の成長を桶の中に張られる水に見立て、桶を作っている板を養分と見立てる。これならば、たとえ一枚の板のみがどれだけ長くとも、一番短い部分から水は溢れ出し、結局水嵩は一番短い板の高さまでとなる。とする話で、よく食生活の栄養バランスにも喩えられます。

この概念に沿うとSDGsの本質を理解しやすく、弊社E-team(イーチーム)のクライアント企業様にもよくこの喩えを用いてお話させて頂いています。

世界を「桶」に見立てた時、桶を構成するSDGsの17目標の板にひとつでも短いものがあれば、そこから水が流れ出てしまいます。17目標はそれぞれ独立したものではなく、その全てを等しく解決することがSDGsの達成です。そして、ひとつの目標に向けての活動が、巡り巡って他の目標にも貢献します。

例えば家具メーカーが「12項 つくる責任・つかう責任」を推進し家具のリサイクルを促すことで生産資源が削減され「15項 陸の豊かさをまもること」に繋がり、更にリサイクル事業が雇用を生み社員のモチベーションを高め「8項 働きがいも・経済成長も」に貢献するといった具合です。イケアのSDGs取り組みがわかりやすい事例です。

SDGsを日本に浸透させるためのマーケターの役割は、何かを買ったり行動することが同時に社会課題の連鎖的解決に繋がるストーリーを描くこと。その連鎖的解決ストーリーを“心を動かすクリエイティブ”としてアウトプットすること。生活者ひとりひとりが「ひょっとして自分に関係あるかも?」と思うきっかけをつくり、普段の何気ない行動が世界中で起きているあらゆる事象に繋がっていると認識することです。

SDGsの導入に際しては、17個の目標のいずれかを達成するという「単一目標」を掲げるのではなく、相関する17目標を「連鎖的に解決するストーリー」を描くビジョン設計が最も重要な工程となります。そして社会課題の解決ストーリーを自社のブランドエクイティに取り込み生活者から支持される強いブランドを構築すると同時に、社内で働くかたがたが日々の仕事に取り組む意義を見出し、強い組織づくりにも繋がるのです。

※イケアのサステナビリティレポート2018 https://www.ikea.com/jp/ja/files/pdf/19/f1/19f1b6f1/ikea_sustainability_report_fy18_jp.pdf